笊ヶ岳(ざるがたけ)2629m布引山(ぬのひきやま)2683m

静岡県、静岡市。以前は国道362号から県道60号と行っていたのだが、畑薙湖から静岡市を目指すと自然に県道27号で帰る事になる。そのほうが道路もよく近いような気がする。ただ、1本道ではないので少しわかりにくい。国道1号静清バイパスから県道27号へ入る。県道27号は玉機橋(たまはたばし)の信号で左折し川を渡る。詳しくはGPSデーターを参照してください。静岡市街から畑薙湖まで全て舗装道路である。湖畔の沼平まで少し未舗装の部分がある。沼平のゲートの手前には広い無料駐車スペースがある。

前年よりGPSのテストを繰り返してきたのは、この山と白石山へ登る為の準備である。南アルプスの山に登る時に、地図にあるこの山がいつも気になっていた。せっかくなら青薙山から布引山を歩いてみたい。しかし、そのコースはどうやら登山道が無いようだ。そうなると私の力量では難しい。青薙山まで行って、その先が無理そうだったら引き帰してもいい。そんな時に携帯GPSを知った。山で迷子になる事は死に直結する。機能に比べれば安く、充分に実用的だ。青薙山が主目的だが、うまくいったらついでに笊ヶ岳にも行ってみよう。それが今回の計画である。

GPSデーター GPSについて

迷いやすいという事なのでGPSデーターには生トラックデーターを入れてあります。GPSデーターには実際に歩いたトラックデーターが入っており、青薙山から所ノ沢越のトラックデーターの95%くらいは実際の登山道を歩いていると思う。それ以外のトラックデーターはGPSが補足できない為に途切れ途切れになっていますが100%登山道を歩いています。

−−−>青薙山より

2005年9月10日 快晴

笊ヶ岳

6:33 所ノ沢越出発。所ノ沢越からは布引山方向へしっかりと登山道が続いているように見えるのだが、20mも行かないうちに登山道がわからなくなった。出だしからいきなりか。先が思いやられる。所ノ沢越近くまで戻って、登山道を探すと、だいぶ埋まってはいるがそれらしき道を見つけGPSを確認しながら進んだ。しかし、それもだいぶ怪しくなり次第に周囲を探し回って登山道を探すようになった。探し回るうちに赤いテープを発見した。安堵の中、それと思う方向へ進むと次第に連続した赤いテープを発見できるようになった。やれやれである。そんな事を繰り返すうちに、それまでは下草の無い地面だったのが、木や草のはえた急な登りの場所に出た。そしてそこにははっきりとわかる登山道があった。それで、赤いテープをたどって来た事が近道だった事を知る。もし、この登山道を見つけられなかったら、急な布引山の登りを藪をかきわけて進む事になっただろう。そうなるとかなり困難だったに違いない。布引山には到達できなかった可能性が高いだろう。その後、登山道は布引山まで続いていた。もし逆のルートだったら所ノ沢越近くまでは登山道が明確にあるので、むしろそのほうが簡単に思えた。8:06 6分休憩。その後、登山道は崖に続いていて無くなっていた。これは困ったと思ったが、崖の淵を上ると、登山道がまたあった。布引山の南は崩壊して、登山道も呑込まれてしまったのだろう。崖の淵に長く留まるのは危険だ。そういう場所は、その後何箇所かあった。あと何百年かしたらきっと布引山の頂上も崩れて無くなってしまうのかもしれない。8:38 34分休憩。9:56 分岐。

布引山

9:58 布引山。14分休憩。10:13 テントが2張りくらい張れそうな場所がある。10:58 9分休憩。11:57 笊ヶ岳。14分休憩。12:29 10分休憩。12:50 分岐。GPSで分岐の場所にさしかかったが、広場のような場所になってはいるが、それらしき道がない。少し戻って丹念に探すが見つからなかった。もう少し先を探すと登山道が見つかった。GPSのマークが少しずれていたようだ。ここからは上級者コースらしいので少し緊張するが、どんどん下っても特に問題のない分かりやすい道なので安心した。やがて登山道は水の枯れた沢に入り、そこを下る。沢はコースを間違えやすいのでマークを見落とさないように注意深く進む。13:35 沢から出る。9分休憩。15:32 水の無い沢の崖の上の場所に来て、登山道がわからず探しまわる。ここから先は道が無いのか。さすがわ上級者コース。そうだったら戻ったほうがいいかも。そう思い始めた時にふと何でこの広場の真ん中にマークがあるのかと何気なくながめていると、その先の崖に窪みを見つける。もしやと思って近づいてみると、そこに下る道があった。もう少しわかりやすくして欲しい。心の中で愚痴を言った。その先は登山道はあるものの崖沿いの細い道で、一歩踏み外せば命が無いような場所だらけだった。若干通過しにくい場所もあった。沢をいくつも通過するので水には困らない。14:11 水あり。14:30 水あり。14:42 沢。水あり。14:57 8分休憩。15:13 沢。水あり。15:42 沢。水あり。16:00 8分休憩。16:30 沢。水あり。16:42 沢水あり。7分休憩。その後、比較的平坦な場所に出る。ここならテントを張れそうである。しかし、もうすぐという気持ちがあって、そのまま通過。暗くなりかけた頃、遂に登山道がわからなくなった。斜面の木には赤いマークがあるのだが、その先を探しまわるも登山道が見つからない。こんな斜面じゃテントも張れない。さっきの所まで戻ろうか。しかし、折角来たのにしゃくにさわる。登山口までの距離はGPSによると1200m。長い距離ではない。昨日のようにGPSを頼って一直線に進もうか。しかし、それは危険に思えた。過去にこの椹島(さわらじま)付近に来た事があったが、川に向かって急傾斜の斜面になっていた。登山道を使わなければ、たどり着くのはとても無理である。
ほとほと困り果てて木にマークがある所の近くまで戻って何気なく周囲を見ていると岩の上に赤いマークを発見。しかし、その先には道がない。何でこんな所にマークが?その時、ひらめいた。岩の上に乗って先を見ると登山道があった。勘弁してくれ。そう言いたかった。そこを過ぎるとまもなく日は落ちて、昨日同様、月明かりもない真っ暗闇になってしまった。こうなったら破れかぶれ。意地でも行ってやると思ったが。それも束の間、またまた登山道がわからなくなる。必至に何往復もして探すと木の間に道らしきものを発見。あやふやながら進むとマークがあってほっとした。それからはそんな事の連続である。歩いていくと急に道が無くなり、わからなくなった。絶対どこかにあるはずだ。そう思いながらもいくら探しても見つからない。探し疲れながらここならテントも張れそうだと思いながら、なおも周囲を何気なく見ていると木に切り欠きを発見。なんと登山道はその木を越えてあった。登山道にはよくあるパターンである。さらに進むと鉄塔の場所に出た。周囲を丹念に探し回るも道がわからない。ここまでの道はこの鉄塔の保守の為の道だったのだろうか。そうだったら、くたびれもうけだ。でもここならテントを問題無く張れる。明日の朝、やり直そうか。そう思いながらももう1回りしていると、木立の間に道が。昼間だったらこんな苦労も無かっただろうに。そう思いながら先を進む。次第に登山道は急な下りになり、岩の上を下るようになった。そしてライトの電池切れ。電池は残り少ない。夜で写真を撮る事もないのでデジカメの電池を抜いてライトに入れる。デジカメの電池は少し使っているので、長い時間持たない。電池を交換して歩き続ける。そうしている内に最後の電池を入れた。後は、予備の新品のアルカリ乾電池が4本残るのみである。しかし、時間的に、そう問題は無いだろうと思った。岩の上は道がわかりにくい。注意しながら、行きつ戻りつ登山道を見極めながら下ると、遂に登山口にたどり着きそこにへたり込んだ。精魂尽き果てた。しかしもう大丈夫だ。20:22 登山口着。今日はそれほど苦労は無いと思っていたので水も少ししか持って来なかった。しかし、ここまで来れば大丈夫と汗だくの体を冷やすように最後の水を飲み干した。ひとしきり休むと椹島に向かって歩き出した。椹島まで行けば水が補給できる。空は曇っているのか星一つ見えず、あたりは真っ暗闇である。やっと道がわかる程度。

電池が少ないのでライトは点けず暗い夜道をとぼとぼと歩く。時折、GPSの電源を入れるのだが周囲が急傾斜の山の為か現在位置がわからない。でも歩いていけばわかるはずだ。そう思いながらゆっくりと歩いた。今日は未体験で緊張したせいもあるのかくたくた。早く椹島に到着したかったが、疲れているので少し歩いては直ぐに休んだ。まあ焦る必要はない。椹島についたら寝るだけだ。時々GPSの電源を入れてみるが現在位置がつかめない。あとどれだけ歩けばいいのか。ある時GPSが現在位置を表示した。今何処?椹島がGPSに見えない。GPSのスケールを調整すると椹島があった。あれっ?GPSを操作して確認すると、とっくに椹島を過ぎていた。沼平までは遠すぎる。戻ろうと歩き始めるがすぐに疲れてくる。それでしばらくして椹島へ行くのを諦めて沼平に行く事にした。このまま歩いたら何時に沼平に着くのか。夜の12時は過ぎるだろう。深夜の2時?3時?まあ眠くなったら寝ればいいさ。テントは何処でも張れる。しかし、歩いているうちに喉が渇いて来た。もう水はない。たしか途中にも水の汲める沢があったはず。しかし、沢はあるものの容易には水を汲めそうもない場所ばかり。水が汲めるのは沼平に近い場所だったような気がする。
歩いているうちに向こうから車が来た。少し緊急事態だったので車の前で手を上げて沼平まで乗せていっていってもらえないかお願いしてみる。釣りの車だったようだ。でも無情にもだめそう。それで水を少しもらえませんかとお願いすると、冷たい水を1リットルほどもらえた。ありがたい。何で車で入れるのか。疑問だし羨ましかった。水を飲んでビスケットを食べ、チョコレートをかじる。食料はもうそれほど必要ない。食べれば軽くなる。ふらふらになりながらも歩いているとまた車がきた。ついでなので沼平に乗せてってもらえないか聞いてみる。やはり釣りのようで、早く行かないといい場所がなくなってしまうとかで、いくらかお礼をしますからと言ったが断られた。次からは作戦を変えて¥2,000でお願いしますと具体的な金額を提案してみるがやっぱりダメ。少なすぎるのだろうか。でも車だったら、そう大した距離ではない。思案をめぐらしながら次に期待する。この時期、車で入る人が結構いるようである。次に同じように持ちかけてみると¥2,000のお礼に引かれたのか助手席の人と相談しながら考えている様子。必至に経過を説明してお願いすると、1度場所取りをしてから戻ってきて乗せてくれるという。やっと成功である。別れてからも何台かの車とすれ違うがさっき頼んだので、声をかけるわけにもいかず、不安になりながらも辛抱強く待っていると、さっきの車が戻ってきてくれて、沼平にやっとたどり着く事ができた。沼平についたのは夜の11時過ぎだったように思う。

それからしばらく車で下って、適当な場所で寝て、翌朝出発。家にたどりついてから、来る前に忘れていた選挙の投票に行った。家にたどり着いて風呂に入ると両方の足の親指の爪が真っ黒だった。どうやら爪の下で内出血しているらしい。たぶん笊ヶ岳から下る時にあせって力が入ったか、長時間の歩きで無理がたたったのだろう。痛くもないので放置していたが知人に言うと、爪が剥がれると言われた。その後は爪が剥がれる事なく、爪が伸びるとともに、次第に黒い部分は先端に移動していった。その後、爪に段差ができた。どうやら爪が伸びて生え変わるには1年くらいかかるらしい。最近、爪の段差にヒビが入って爪が半分くらい剥がれそうになってきた。痛くはないのだが、初めての事なのでどうなる事やら。無理はするもんじゃない。

まとめ
今回で青薙山から布引山まで登山道がある事がわかった。登山道を行けばGPSが無くても通過する事は不可能ではないように思われる(但し、迷った場合の備えは必要)。布引山から所ノ沢越の3分の2くらいはしっかりした登山道があるが。所ノ沢越近くはわかりにくい。布引山へは藪の急な登りなので登山道を使わなければ困難である。登山道は布引山の南の崩壊した近くにあり、1部の登山道は崩れてしまっている。布引山から下ると所ノ沢越近くまで登山道が続いているので、その方が容易だろうと思われる。

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