剣岳(つるぎだけ)2998m

剣岳

長野県大町市(おおまち)。扇沢へは国道147号より県道45号を終点まで行くと終点に扇沢がある。県道45号は全線舗装されており、そう狭くもない道路が終点まで続いている。扇沢には有料と無料の広い駐車場があり、トロリーバスに近い方が有料駐車場になっている。混雑時には無料駐車場は早朝には満車となり有料駐車場に置かなければならなくなる。日帰りでもなければ有料駐車場に駐車するのは避けたい。扇沢には24時間使えるトイレがあり、飲用可能な水道もある。トロリーバスは季節により運行が変わるのでよく時刻表を見て間違いのないように確認してください。連休などの前には運行表より臨時にさらに早い便が追加される場合があるので早く行きたい場合は事前に問い合わせて確認してみるとよい。大町市にはスーパーやコンビニがある。大町市街を離れて扇沢へ行く途中にはほとんど商店のようなものはないので大町市で調達しておくのがよい。

扇沢情報
http://www.alpen-route.com/

立山−−−>

2003年9月28日 晴れ

昨日は午後から天気が悪くなり明日はどうなるものかと心配だったが朝はすっきりと晴れた。朝の気温6℃。朝食もそこそこにテントをそのままにして、ザックに少しばかりの荷物をまとめて出発した。

6:32 テント場出発。テント場には道標がなくどっちへ行けば剣岳へ行けるのかわからないのでとりあえず剣沢小屋へ向かった。6:34 剣沢小屋()。剣沢小屋に来ても道標のようなものがなく、人気もない。さて困ったとは思いながらも、ここに来る途中で下って行く一行を見かけたのでそっちだろうと思い、道を下る。途中でグループに追いついたのでどっちへ行けばいいかと尋ねると目の前の山を指差してあれが剣岳と教えてくれた。今まで何気なく見上げていた山が剣岳だったのだ。険しそうだが変凡な山に見えた。一行の後について行けば剣岳へ行けるのかと思ったら一行は剣沢方面との事で別の方向を目指す事になった。6:43 真砂沢分岐。仙人池分岐。6:46 真砂沢分岐。仙人池分岐。7:04 剣御前分岐。7:06 剣山荘()。トイレ¥100。

前剣から剣岳を望む

カニの縦這?

8:21 前剣。10分休憩。前剣からは岩また岩の急峻な岩登りとなる。マークはついているが一部不明瞭な個所があり、誤ってルートを外れると危険な場所へ迷い込んでしまう事になる。こんな場所が正規のルートなのだろうかと疑心暗鬼で行くと向こうにマークが見えたりするが、ここが正規のルートなのかと疑いたくなるような場所もある。ルートを正確にたどる事は、特に剣岳にとっては非常に重要である。他の山でもここは難所と思いながら行くといつの間にか登山道を外れていて、振り向くと別の所に登山道があったりする。しっかりと無理をしないように進まなければならない。行きと帰りは別のルートを通る場所がいくつかあり、概ね行きは右側を通る。行きは垂直に近いクサリのカニの縦這を通り、帰りはカニの横這を通るようである。ここ何年かに始めた山登りで高所にはだいぶ慣れたがそうでなければ心臓が張り裂けそうなくらいの場所である。あまり下を見ないように登る事にした。しかし、帰りはいやでも下が見えてしまう。こんな所を冬場に登るのは私にとっては死にに行くようなものである。ここ剣岳では毎年のように滑落で死亡する人がいるようである。雨の日などは滑りやすいので避けた方が無難である。

剣岳頂上

9:50 頂上。46分休憩。頂上に着いた時には快晴に近いくらいで周囲の山が良く見えた。鹿島槍ヶ岳は山の格好からすぐにわかったが五竜岳がどれなのかよくわからなかった。...帰りも急なクサリ場の連続。特にカニの横這の始めにクサリに手をかけるが足をかける所がない。どちらかというと握力と腕力で体重を支えて通過しなければならない。しかし、それはほんの1mくらいの間で後はちゃんと足をかける部分があるのでそれほどでもない。しかし、最初なのでクサリに手を掛けたはいいがこれがずっと続いたら落ちて死ぬのではないかと思った。実際、私の前にここを通過した中年女性は最初にクサリに手をかけたはいいが足が出ずに1分くらいその態勢で垂直な岩に張り付いていた。そこに長く留まればやがて手が疲れてきて落ちてしまう。かといって大雑把に進めば足を滑らせて落ちてしまう。ある程度、腕力で強引に進めるだけの力がないと剣岳は危険な場所である。ここでテントなどの重量物があればそれに打ち勝つだけの筋力を要求される事になる。11:53 前剣。12:47 一服剣。13:10 剣山荘。13:14 仙人池分岐。13:15 剣御前分岐。13:35 分岐。13:38 仙人池分岐。13:47 テント場。

最初は剣岳を往復するのにもっと時間がかかるかもしれないと思っていたので時間がかかるようなら、のんびりと登山してここでもう1泊するつもりだったが予定通りというかやや早かったので次の場所へ移動する事にした。後から考えると、テントはたたんで、剣山荘あたりに荷物を置いて帰りは剣御前のコースの方がずっとベターだった。その方が稜線沿いのコースで景色も良かったはずだ。ちょっと悔やんだが剣岳に無事に登れただけでも充分満足であった。
テント場に着き急いでテントをたたみ、一休憩してから出発。だんだんと雲が多くなり夕方には雨が降り出しそうな雰囲気である。次のテント場で水が得られるかどうかわからなかったのでやや多めに今夜は水を補給しなくてもいいくらいに水を補給した。たぶん室堂まで行けば確実に水が補給できるはずである。

14:33 テント場出発。14:52 別山分岐。15:14 剣御前小屋()。7分休憩。16:21 大日分岐。16:23 沢。16:26 雷鳥平。雷鳥沢キャンプ場。

テント場()は広く平で良く整備された公園のようである。どちらかといとテント場というよりファミリーキャンプ場である。室堂から来ればさして時間はかからずに来られるだろう。しかし、テントは数えるほどしかなく閑散としていた。水場()の近くにテントを張る事にした。水は豊富で心配する事はなかった。沢水を引いたと思われるがそのまま飲めるかどうかはわからない。何も書いてなかったのでそのまま飲用したが特に異常は無かった。水が豊富なのに安心してまずはテントを張った。その後、トイレ探しにやや離れた管理棟と思われる場所へ行ってみるとトイレがあった。トイレはまずまず綺麗でトイレットペーパーもある。管理棟はシーズンオフなのか誰もいないが明かりが点いていた。誰もいないがテントは¥500で用紙に氏名などを記入して箱に入れるようになっていた。
ひととおり、用事を済ませ、水も確保出来たしと一息ついて、立山を眺めるが雲が多くて写真を撮る気にはならない。ここのところ午前中は天気がいいので明日の朝、起きたらすっきりと晴れた立山が見られたら素晴らしいだろうななどと夢を見るのも悪くはない。
一息入れてここにテントを張った目的の調査をした。確か雷鳥荘という温泉宿が近くにある筈である。テント場の真ん中には地図があったのでそれを眺めてみたが温泉マークは無い。持ってきた地図で雷鳥荘を確認するが温泉マークは無く、どれくらいの距離なのかもわからない。ここに来ても何も情報が得られなかったのでややあせった。計画では剣岳からやや急げばそのまま室堂まで行きその日のうちに帰る事も可能だったのである。それをわざわざ温泉の為に1日を費やすようにしたのに。雷鳥荘まで行くのにあまり時間がかかるようなら諦めざるを得ない。それに温泉が雷鳥荘に本当にあるのかどうかもよく確認できなかった。うっかりしてちゃんとメモを取らずに来てしまったが、確か雷鳥荘と思ったのだが別の名前だったかもしれない。近くにはみくりが池温泉というのもあるはずだがそこはやや遠いようである。思案していても仕方がないのでコンビニ袋に荷物をまとめて歩き出した。ここから雷鳥荘までは整備の途中らしく石畳にはなっているが工事中の所があり注意が必要だ。近くにも近代的な宿のようなものがあるが温泉がありそうにはみえない。夕闇迫る中、10分ほど石畳の階段を登りつめるとなんと雷鳥荘があった。意外に早く見つかった。入浴料¥500を支払い2時間ほど入浴。入浴後、立山へ入るのに荷物を少なくしてきたので大した食料もない。ここでたまには豪勢に夕食でもと思ったが残念ながらレストランで食事とはいかなかった。仕方がないのでフロントでビールを購入しようと思ったが買えなかったので食堂まで降りて行って500mlの缶ビールを購入した。館内は暖かくて気持ちがいいがビールを飲んでくつろげるような場所もないのでテントに戻る事にした。帰りはすっかり暗くなっていて夜露のせいか石畳の階段は滑り易かった。来る時は無我夢中で来たものの暗くなると帰り道がわからなくなってしまった。整備された道路は何処も同じように見える。やや迷ったがなんとかテント場にたどりついた。テント場も広いので暗闇の中で自分のテントを探すのにあせったが幸い水場の水の音を頼りに探り当てた。といってもそう広い訳でもないのでさほどの心配はないだろう。しかし、テントが多ければやはり見つかりにくいという事はあるだろう。
テントにもぐり込んで、少ない荷物ながらもしっかりとビールのつまみを持ってくるという用意周到さには自分でも感心した。明日はさほどの心配はなさそうなので柿ピーやら焼きシマアジやらをつまみに今日の疲れを癒す。と言ってもほとんど疲れは感じないのだが。ここで飲むビールの味は同じ缶ビールでもまた格別である。とにかく剣岳を登り、100名山のほとんどをこれで登り終えたのも満足である。正確には100名山の伊吹山と幌尻岳は登ってないのだが、元より100名山を登る事が目標ではなく全国の山を登って山への認識を深め、自分の好みの山登りを見つける事が第一次計画の目標である。幌尻岳には登ってみたいとは思うがなかなかそのチャンスは訪れそうも無い。しかし、北海道まで行かなくても近くに楽しめる山の数々を再発見できた事は充分な収獲である。過去に登ってほとんど忘れていた山々に登れた事も嬉しい。元より自分自身が飽きっぽい性格の為、これまでの第一次計画が達成できるとは夢にも思わなかった。それまでは小屋泊まりでしか山登りしなかったが、第一次計画では念願のテントで全ての山を回れた事も嬉しい事の1つである。山で気ままに星空を眺めてはテントで寝るというのはあこがれだったのである。最初のテント泊は何もわからない状態で失敗もあったが、回を重ねるにつれ工夫する事も出来、自分なりのテントスタイルが出来あがってきたように思われる。今までは少ない時間で多くの山を知る事に重点を置いてきた為、どちらかというと忙しい山登りだったがこれからは楽しむ山登りが目標となる筈である。いわばこれまでの山登りは山を楽しむ為の調査の山登りだったのである。だからこのホームページではテント場や水場の状況を漏らさず掲載したつもりである。それは何故かと言うと自分自身が忘れない為に資料としてここに残す事が最大の目的であったのである。そんなこんなで今日の夜はひとくぎりの特別な祝杯でもある。温泉に入った後のビールという事もあるかもしれない。嬉しさのせいか妙な充実感と満足感で今夜は特にいつもより楽しい夜となった。

2003年9月29日 曇り、時々雨

朝の気温5℃。今朝は全面の曇り空で立山はまったく見えない。残念である。今日の行程には余裕があるので天候待ちをしてみたが天気は回復せず。回復するどころかますます悪くなるような気配だ。天気予報がわからないので近くの人に声をかけてみた。するとその人は私とほぼ同じコースをたどってきたそうで、今日は大日岳へ朝早く出発する予定だったが天気が悪いらしいので中止したという。さてさて、どうしたものか。今日は黒部湖まで歩いて帰る予定だったが、雨の中を苦労するよりは室堂から一気に扇沢まで行ってしまったほうが世話なしである。冷たい雨の中をとぼとぼと歩く気にはなれない。情報は多い方がいいので室堂方面から来た団体にも天気を聞いて見た。これから雨になるという。そうこうしているうちに、実際、雨がぱらぱらと降り出してきた。とにかく雨の中を歩くのはいやなので急いで荷物をまとめて雨の止んだ間隙をついて大急ぎでテントをたたみ出発した。

みくりが池 (向こうにみくりが池温泉が見える

7:48 テント場出発。8:02 雷鳥荘。4分休憩。ここまで来たところでやや雨が強くなってきたのでカッパを着た。8:22 みくりが池温泉(日帰り入浴8:00〜16:00)。天気が良ければみくりが池が良く見えるはずなのだが、本降りの雨でそれどころではない。8:24 みくりが池。8:29 分岐。8:33室堂ターミナル。

室堂に着いた頃には雨はやや小降りになったが、これから晴れるとも限らない。出来るだけ足で歩くという趣旨を貫き通したいが、雨の中をむやみに歩くつもりもない。室堂ターミナルで雨宿りをしながら思案した。ターミナルには天気予報の情報があると思ったのだが予想に反してそういった情報は無かった。弱ったものだ。しかし、ターミナル内は雨がしのげ暖かかったので時間つぶしには都合が良かった。そこで、資料館などを回って休憩を兼ねて時間つぶしをして天候の様子をうかがった。暇つぶしもそう長い間できるものでもない。歩いて帰るにはタイムリミットがある。雨も止んでいるのでターミナル内にある黒部湖のモニタを見ていると傘をさしている人はいない。天気はわからないが晴れてはいないように見える。おそらく全面曇りかそれに近い状態のようだ。ここに着いた時に見た時も雨は降ってないようだった。富山県側の天気が晴れなら局所的な天気という事になるが、あいにく富山県側の天気はわからない。出てくる時は晴れの日を狙って出てきたので、確率としては天気の谷間にある確立の方が高い。天気は西から東へ移動するが天気より先に歩いて移動は出来ない。しかし、黒部湖のあたりはここより標高が低いので雨の降り始めは遅くなるだろう。今日のような天気が悪い時は標高の高い方からぐずつくのだ(高所で雲が低い時は下から雨になり上に上がる場合もある)。山の天気は午後から夕方にかけて雨になる事が多いのであまり到着時刻が遅くなると雨に降られる可能性が高くなる。山脈になっている一ノ越を越えれば天気はそう悪くはないかもしれない。それに一ノ越からは下りなので時間としてもそうかからないはずである。色々と考えたが、結局のところ天気の専門家ではない私にとっては確実な結論は出ない。私は意を決して出発する事にした。

9:27 出発。9:30 一ノ越分岐。7分休憩。9:40 浄土山分岐。10:19 一ノ越山荘。水¥100。3分休憩。室堂からここまで雨に降られる事はなかった。ここまでは登山道というよりはコンクリートで固められた広い道路になっていてどちらかというとどこかの神社の参道に近い歩き易い道である。11:02 東一ノ越。5分休憩。11:21 雷田分岐(通行禁止)。11:53 沢水。11:59 2110m。12:16 休憩15分。13:30 黒部平駅分岐。14:18 ロッジくろよん。14:20 平ノ渡分岐。14:21 キャンプ場。13分休憩。14:48 かんぱ谷橋。14:54 ケーブルカー乗り場。15:03 黒部ダム レストハウス。ここに着いたところでやや小雨が降り出した。ラッキーである。一応、お土産を物色したが結局、何も買いたいお土産は無かった。しかし、ここには破砕帯の水()があったのでそれを水筒に目一杯詰める事にした。目一杯詰めると3Lあるので結構重い。破砕帯の水は展望台とレストハウス横の2ヶ所で汲めるようになっている。15:35 トロリーバス出発。15:51 扇沢着。最後にイカスミの何とかを買おうかと思ったが結局あきらめた。

−−−>らいちょう温泉(雷鳥荘)

行った時は帰りの心配でそれどころではなかったが、室堂ターミナルの前には名水100選の「立山玉殿の湧水」があり、立山の破砕帯の湧水がある。また近くには地獄谷があり、遊歩道を散策できる。時間があれば行って見るのもいいだろう。

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