東河内温泉 |
隆泉橋をめざして、静岡市から県道60号を畑薙(はたなぎ)湖方面へ向かう。何時の間にか畑薙第二ダムを過ぎてしまったが百名山である赤石岳の登山口まで行こうと思いさらに奥へ行く。ここいら周辺は道に落石がやけに多いが、山では見慣れた光景なので気にせず進む。確かに山肌は石が落ちてきそうな感じがする。畑薙湖のなかほどまで来ると、道は一般車両通行禁止となっていたがゲートは開いていた。近くに駐車場はあるが、ここから登山口まではかなりの距離を歩かなければならない。みんなどうしているのか。通行して事故にあっても責任は持ちませんともある。とりあえず引き返す事にした。途中、赤石温泉へ寄ってみる。入口には派手なディスプレイがあった。車は1台しか止まってない。
畑薙第二ダムを過ぎても東河内林道の様な表示は無かった筈だ。ここかなと思い適当に左折落石の多い道をどんどん下ると隆泉橋があった(静岡市方面から来て隆泉橋へ行くには「あまごの里」とある道路標識を見て右折すれば行ける)。隆泉橋から先は未舗装のガードレールの無い道路となったが、2駆の乗用車でもさほど苦労は無い。しかし、道端に落石は多い。まるか山荘はすぐに見つかった。まるか山荘は鍵がしまっていて誰もいないようだ。まるか山荘前の駐車スペース(3台程度)に車を置いて上流方向を見ると河原に容易に降りられそうも無い。そこへ向こうから大型トラックがブルトーザを積んで降りてきた。駐車スペースに車を置いていたのでラッキーだった。この道をバックするのはつらい。さらに奥へ行くと150mくらいの所に緑色のゲートがあるがゲートは開いていた。さらに先へ行くと道路工事中で軽自動車が前を走っていた。あまり先へ行くと転回に苦労するかもしれないので適当な場所で左に車を寄せて地図を確認しながら駐車して思案していると、先ほど前を走っていた軽自動車が向かってきた。走りながら窓を開け始めたので、私も窓を開けると、「何処に行くのか」というような意味の事を関西弁風の言葉で言った。「いえ、別に」と答えると、「釣りか?」というので「いいえ」と答えた。「何故ですか」と聞くと「石が落ちて来るから」と言った。確かに石がいつ落ちてきても不思議では無い道路である。私はそこでUターンしてまるか山荘まで戻った。
地図を見て、先ほどの道の曲がり具合から、まるか山荘から東河内温泉までは直線で400mくらいと推定した。まるか山荘の下の河原には小さなダムがあり、駐車スペースからダムの上に道があった。河原には容易に降りられる。河原は比較的平らで水も少ない。容易に歩けそうに見える。山のはるか上の方には雪も見えたが、ここからは雪も見えない。3月は急に気温が上昇した時は、雪解け水で急に水量が増えるかもしれないので気をつけなければならない。山の準備をして、近くまで行く事にした。緑のゲート付近にも駐車出来そうなスペースはあるが、まるか山荘には誰もいない様なので、しばらく置かせてもらう事にした(まるか山荘の駐車場かどうかは不明)。
’2000年3月 快晴のち雪
11:08 河原に降りて川をさかのぼる、空は快晴。渇水期なので水は少ない。水深は深くて20cmくらい容易に川を渡れる。30cmの普通のゴム長靴で充分行けた。川の中の石はこげ茶色の藻が岩についていてツルツルして滑り易いので石の上に足を置かずに、河床の上を歩く。所々に足跡があった。1人のようだ。誰か同じルートで既に東河内温泉へ行こうとした人がいるのか、それとも釣り人か。途中、両側が切り立った崖の間を抜ける。ここで増水されたら崖をよじ登るのは無理だ。川が深い所に来たので1m位の高さの岩の上を歩く(ここは容易)。溝に落ち葉がたまっているので注意して足を落ち葉に入れる。
まるか山荘 | 朽ちはてた木造の小屋 | 送湯の小屋?配電盤らしき物あり |
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上流に延びるパイプ | ||
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11:30 何度か川を渡りながら、東に朽ちはてた小屋と川の東西にかかる太い鉄管の送湯パイプのある場所に出た。パイプは上流の方に延びている。河原からは木のやぐらの様な物は見えない。パイプからは暖かいお湯がポタポタと落ちていた。ここに違いない。地図では東河内温泉は川の東になっていたが、どうやら源泉は西側らしい。東岸は傾斜はゆるやかだが西岸はきつい。回りを良く観察すると10mくらい上に登山道があるように見えた。しばらくあたりを観察してから、岩場をずり落ちると大怪我をしそうなのでパイプから30mほど南(下流)の土の部分から巻いて登る事にした。登り始めて「しまった」と思った。土が柔らかく崩れそうだ。大きな石も柔らかい土の上に乗っているだけなのでグラグラする。木を掴んでも木ごと抜けそうなのもある。大きな木は無い。誰も入った事がなさそうなので当然といえば当然だ。よく見ると土砂は所々小さく崩れていて、そこの上も渡らないといけない。土砂崩れを起こさないよう、両手も使って一点に体重がかからないように慎重に登る。風は時折ザワッと吹くが強くは無い。風か薙いでいるのに、時折、小さな小石が自然に転がり落ちる音は不気味だ。新しくは無いが鹿の糞があった。
25分ほど登った所で突然、ズー、ズザ、ズサッ、カン、グシグシッと音がした。音の方を見ると木々の間から、正面に40mくらいの高さから5mくらいの幅で土砂崩れがはっきりと見えた。(パイプより30mくらい上流)一瞬、体が止まった。音からすると5〜10cmくらいの石も4〜5個は落ちているように思う。すぐに降りようかとも思ったがすぐに降りられそうもない高さにまできていたので、もう5分ほどして小屋がほぼ正面の見える位置まできた。上に鹿がいて石を落としたらまずいなと思った。登山道らしき道は所々崩れてはっきりしない。きっと温泉は近くにあると思ったが、帰る事にした。
12:09 道を探して6分ほどで河原に降りた。土砂崩れのあった方へ行ってみたが、どこがそうなのかわからなかった。この場所が目的の東河内温泉なのかどうかはわかりませんが、このあたりがかなり危険な事は確かなようです。
12:20 あまり長居は無用なので帰る。帰る途中、向こうから布の四角いバッグを背負った初老の人が一人歩いて来た。釣竿は持っていないが釣りの様である。「釣りか?」と聞くので「いいえ」と答えた。温泉に入った事ありますかと尋ねると「あて石が...」と言った。「じゃあ、お気をつけて」と言って別れた。彼はあの場所が落石、崩落のある事を知っていた。私は思った。この東河内温泉の周囲だけが危険なのでは無い。ここいらへんの山、全体が危険なのだと(但し、まるか山荘から東河内温泉までの河原に限っては一部を除いてさほど危険な場所は無いようにも思いました)。私が今までに登ったどの百名山よりもこの場所は危険だと思う。もし100人が行っても無事に帰れるかもしれない、でも、200人が行ったら一人くらい何らかの事故にあうかもしれないと思います。
12:51 まるか山荘着。いつの間にか雪がちらほら舞い下りて来ていた。後ろの山を振り返ると、山の上が吹雪で影が薄くなっていた。こんなにも天気が変るとは驚きだ。何か今日の1日を暗示しているかのようだ。帰りに時間がかかったのは、回りをよく注意しながら歩いた為で、今日と同じ条件ならば初心者でも20分程度で行きき出来ると思います。
尚、この川の上流にも、どの位置かわかりませんがダムがあり、放流の前にはサイレンがなるようです。たぶん、サイレンはウー、ウーというパトカーや救急車とは異なる音色で放流の30分前には鳴り始めると思う。サイレンが鳴り始めたらすぐに戻り始めれば安全に戻れる可能性は高い。下流に歩いて行けば、放流の先端が到達するまでに多少の時間的な+αの余裕もある筈だ。また、周辺でのキャンプや車中泊は好ましくないと思われます。泊るなら畑薙ロッジ、井川オートキャンプ場が良いかと思います。
行かれる方は充分に注意して下さい(山は、町なら立ち入り禁止になる所も、立ち入り禁止とは書いてありません。すべて自己責任です)。河原は出来るだけ、真ん中付近を歩いた方が良いでしょう。それと、高い所が苦手な人は無理かもしれません。
このページは1ヶ月程度で削除します。ここに行かれる方が増えるといけないと思いますので、このURLは一般の方には教えないようにお願いします。(尚、このページの下のTOPで私のHPに飛べます、私がどういう山に行っているか分かります)