ニュートン・サーカスに近いホテルは交通の便が悪く、ホテルのフロントではまったく日本語が通じない為、若干1名がのろしをあげた為、一緒に来ていただいている商社の方にホテルを探してもらったがシンガポールのホテルでは日本語の通じるホテルは無いらしい、ちょっと驚きである。しかし、ホテル代は同じ程度でも交通の便の良いホテルはあった。我々は1ヶ月の予定をたったの4日でキャンセルして、そうそうに引っ越した。

そのホテルではバイキングで朝食が食べられる。(前のホテルも同じだが)海外で一番まともな味は朝食だ(失礼)。昼とか夜は現地の味の食事になるので、からいとかご飯のにおいがきついとかでなかなか食べれない人もいる。私はあまり気にならないので大抵は何でも食べる。どこでも生きていけると言われているが、あたりだ。でも多少我慢しているんだぞ。

朝食はホテルによっても異なるが、ここは日本系のホテルなのでトーストとかおかゆ、パン、チャーハンにハム類、たまごとくる。一番いいのはデザートだ。南国の国らしく果物はうまい。メロン類は色々と種類がありしかも甘い。私はスイカに目がないので専らスイカと何かを食べる。朝からデザートを食べるなんてなんて贅沢なことだ。

ある日、朝食に1階におりて来ると、同僚が浮かない顔でセカンドバッグが無いという。色々と聞くと、どうやらセカンドバッグを椅子の上に置いてバイキングの品を取りに行っている間に盗まれたらしい。まあバッグくらい、いいやとはという訳にはいかなかった。そのバッグにはパスポート、20万円、帰りの飛行機のキップが入っていたのだ。大騒ぎというわけではないが、本人はさぞかしがっかりとしたことだろう。

ホテルの警備の人やマネージャーに事情を説明し、ホテルの人に一緒に行ってもらい、警察に行って盗難届けを出し、その日のうちに日本大使館に行って仮のパスポートを発行してもらう手続きをして、後日、現地の会社の方にシンガポールのイミグレーションへ連れて行ってもらい、全てが初めての事だった。こういう事は2度とないだろう。しかし、ホテルの人にお世話になったり、現地の会社の方に色々とお世話いただき、それほどの苦労もなく比較的スムーズに事が運んだ事は幸いである。不思議だ。この時には、たぶん英語の達者な商社の方は帰っていたのだろう。私は彼と一緒に日本大使館へ行ったりして、全てに付き合った。おかげでいい経験をした。

この時以来、私はやればなんとかなるものだという気にはなった。また、この時はこれでこれからはもう確率的に大事件は起きないだろうと思ったが、それは甘かった。