毎日、夜遅くまで仕事をしてホテルに帰ると、ホテル内のレストランは閉まってしまい、またホテルの周りにレストランもなく、夕食が食べられなくなった。かといってタクシーを呼ぶと、30分以上待つことは普通という。明日の朝は早いので早く食事をしなければ、困った。
まだ来て間も無いので、全てがよくわからない状態だ。来るときにもらったJALシティマップによるとニュートン・サーカスという屋台村が近くにあることがわかった。でも電車もなく、2〜3キロありそうなので歩くには遠過ぎる。バスがあるようだ、でもバス不慣れなので乗れない。どうしよう、でもバスで行く事にした。何処行きのバスかわからないが、とりあえずそっちの方向に行くバスに乗った。
ニュートン・サーカスまでは5つ目のところにある。意を決してバスに乗っている人のよさそうな人に、英語でこのバスがニュートン・サーカスへ行くのか聞いてみた。返事が無い。きっと英語が通じて無いのだ。いいかたを変えてもう一度聞いてみる。やはり返事はない。でもしばらくして何か言っている。なんだかよくわからない。怒っているんだろうか。実地の英語のヒアリングだ。英語の内容はわからないが、なんとなくニュートン・サーカスに行けるような雰囲気だ。バスがその停留所に来たとき、ここだ、みたいなしぐさをした。そして斜め前の方を指差した。きっと大丈夫だ、元気が出てきた。手を振って、サンキュウと言って降りた。
バスを降りてから地図を見て、そちらの方向へ暗がりの中を我々だけの1団で歩いていった。でもなかなかそれらしき物が無い。周りに人かげはなく1人だったら泣き出しそうだ。もう行き過ぎてしまったのだろうか。少し不安になる。しばらく行くと人影が見え出した、どうやら何処か同じ所を目指しているようだ。同じ方向へ行ってみる。明かりが見えた。ニュートン・サーカスらしい。
屋台といってもアルミサッシのこじんまりとした建物だ。水道もある。イメージよりもかなり衛生的だ。安心した。でも何が食べられるのだろう。かなり混んでいて7、8人分の座れる所が無い。屋台のお兄さんが呼び込みで声をかけてくる。日本の何処かに似ている。にやっとした。
場所を見つけてメニューを見るが、何なのかわからない。何処かの兄ちゃんがなんと日本のキリンビールの2リットルのビア樽を持って来るではないか。みんな喜んだ。全員一致で賛成し注文した。シンガポールで日本のビールが飲めるなんて、日本の影響力は絶大だ。ビールを飲みながら、メニューの内容を英語で聞いているうちに焼き鳥と言った。ここまで日本の観光客は来ているのか、それとも商魂たくましいのか、どっちでもいい。焼き鳥とやきそば、チャーハンその他を頼んだ。
焼き鳥がきたその場でお金を支払う。その店以外で頼んだものは、その場でお金を請求される。焼き鳥は肉が日本の1/3位の大きさで、日本と同じように串に刺さっているが、かなり小さい、色も黄色っぽい。みんなすぐに手が伸びて食べ出す。何か変だ?カレー味だ!1、2本はいいが後は手が出なくなる、でも1人あたり6本くらい頼んでいたので山盛りだ。
やきそばがきた。早速、誰かが食べた。からい!と言った。私も食べて見る。確かに辛い。唐辛子いっぱいっていう感じ。1皿食べられない。それにソース味じゃない。麺を唐辛子と一緒に、ただ油で炒めたって感じ。
チャーハンがきた。これも唐辛子で辛い。たくさんは食べられない。
それぞれがテーブルに山盛りにあるのに、ため息が出ていた。でも1つだけ最高にうまかったのは40cm程もあるエビだ、こんな大きいのは見たこともない。これはすぐに無くなった。
これ以来、何人もで行って食べる時は1皿だけ頼んで食べれそうだったら、さらに注文するという術を編み出した。